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銀行でのチャネル戦略再構築事例

社会構造の変化やITの革新は消費者のライフスタイルを大きく変えるとともに、金融商品やサービスに対するニーズも多様化させてきています。また、マイナス金利政策や地方銀行の再編統合など、銀行を取り巻く環境は日増しに厳しさを増しています。
このような社会的背景のなか、これからの銀行には顧客本意の良質なサービスを提供することが強く求められており、そのためには他行と差別化した顧客視点での独自の戦略を策定していくことが重要と考えられています。

本事例は、銀行(国内A銀行)の“チャネル戦略の再構築“を当社が支援したプロジェクトの概要です。銀行を取り巻く環境変化とA銀行の課題を深く洞察し、顧客の視点から戦略立案にアプローチする日立独自の手法などを用い、A銀行とともに2020年の“次期チャネル戦略“を策定しました。

プロジェクトの概要

本“チャネル戦略プロジェクト”では、現在のチャネル戦略を見直し、激しく移り変わる外部環境を見据え、「10年先の近未来の環境下でも“顧客利便性の向上”が可能な銀行チャネルの在り方」を策定しました。戦略策定に際しては、デジタル・マーケティング、マーケティング・オートメーションといったマーケティング手法、ブロックチェーンなどの先進ITを見据えたオムニチャネルの構築により、時間や場所を選ばない高度な銀行サービスの提供を意識して進めました。

プロジェクトの背景と目的

図:プロジェクトの背景と目的

顧客課題と解決方針

A銀行は母体企業の強みを生かし、郊外のGMS(※1)やモールを訪れる顧客が気軽に立ち寄ることができる銀行店舗の展開で、順調に業績を伸ばしてきました。しかしながら、近年の人口減少・高齢化・都市集中化といった環境変化により、店舗戦略、さらには銀行全体のチャネル戦略見直しを迫られ、当社支援のもと、以下の課題を解決する新たな戦略を策定することをゴールとしました。

※1
GMS:General Marchandise Store

現状の課題とその原因、対応策

図:現状の課題とその原因、対応策

戦略立案に向けたアプローチ

チャネル戦略の立案にあたり、現在の延長線上に2020年のチャネルを描くのではなく、2025年の近未来のあるべきチャネルを描き、それを実現するためにめざすべき2020年のチャネルがどのようなものかを明確化するバックキャスティング手法を用い、顧客が真に望むチャネルを導き出しました。

バックキャスティング手法によるチャネル戦略立案

図:バックキャスティング手法によるチャネル戦略立案

プロジェクトの進め方

本プロジェクトは、「Step1. 計画策定」から「Step4. チャネル戦略立案」までの4段階を、約3か月かけて推進しました。「Step3. 顧客消費行動定義」では、縦割り組織による障壁をクリアするため、日立独自の合意形成手法を取り入れ、経営層および各チャネル所管部署マネジメントメンバーの共通認識を醸成しました。
このときに用いたのが、製品やサービスを通して顧客が得られる“うれしさ・感動・喜び”といった経験価値(Experience)に着目し、新たな事業やサービスを顧客とともに“協創”する手法である「Exアプローチ」です。具体的には、プロジェクトメンバーの思いを引き出し、各自が出し尽くした思いをその場で“見える化“することで、合意形成を実現する「クリエイティブワークショップ」を行いました。

プロジェクトの 4 Step

図:プロジェクトの 4 Step

成果物

戦略を実行していくための具体的な施策に基づく「チャネル戦略実行計画書」と、それに付帯する以下の成果物を作成しました。
これらの成果物は、プロジェクト関係者から多様な意見を引き出し、合意形成を早め、既存の仕組みにとらわれない顧客が本当に必要とする新しいサービスを提供するためのチャネル戦略の立案に貢献しました。

図:成果物

日立コンサルティングのサービス

当社は、金融ビジネスのさまざまな知見を活かし、顧客視点に立った独自のアプローチで、厳しい環境への適用に取り組む様々な金融機関のお客さまの、戦略立案や優位性構築などのご支援を行い、事業拡大に貢献します。

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