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“スマホネイティブ“からもらったイノベーション創出に向けたヒント

荒浪 篤史 株式会社 日立コンサルティング ディレクター

2016年5月9日

日立コンサルティングが、国内最大級の学生ハッカソンであるJPHACKS2015にスポンサーとして参加し、様々な気づきや刺激を学生の皆さんから頂いたことは第一回コラムでご紹介しました。
第二回コラムでは、ハッカソンに挑戦する学生さんと会話する機会に恵まれましたので、彼らの素養やそこから我々企業が学べるところを、もう少し掘り下げてみたいと思います。

イメージ写真

何故ハッカソンを目指す?

先ずは、素朴な疑問、そもそも何故にハッカソンに出場するのでしょうか。
ひとつは、とにかくプログラムが好き!ってこと、当然ですね。
そして、力試ししたい!ってこと、なるほど。
面白い三つ目、1〜2日間でがーっと集中すれば、結果が出ちゃう、ってことだそうです。結果悪くっても、次!次!と気持ちを切り替えられる。確かに、1年手塩にかけたプログラムが失敗だったら立ち直れないですよね。
あと、チーミングを失敗して仲間とギクシャクしちゃっても、ハッカソン終われば引きずる必要ないですもんね。
凄く合理的です。

次に、アイデアってどう閃いているのでしょう。
日立コンサルティング賞をお渡しした「毛蟹ファンクラブ」の皆さんは、ハッカソンの本番の3日前に閃いたそうです。突如閃いたアイデアをあれこれ考えないで、直ぐ手を動かしちゃう!第一回コラムでご紹介したような大人では思いつかないアイデアがハッカソンでは多々産出される環境要因のひとつなのではないでしょうか。
ちなみに、JPHACKS2015のプレゼンでは、緻密に市場分析したうえで開発対象を選定しているチームも居ましたので、すべてが閃き一発勝負しているわけではないです。

最後に、チーミングってどうやっているのでしょうか。
これも良いときもあれば失敗するときもあるみたいですが、先ずは出来そうなメンバーと組んじゃう!
スキルはむしろ各々バラついていたほうが、分担で悩んだりしないし、お互いをリスペクトできるので結果としてスムーズに進むということです。これもハッカソンという短期決戦を前提とした環境において適正化された思考と思いました。

短期間で、反省して、次にいく!

IT業界は、より革新的なアイデア、すなわち、イノベーションを、よりスピーディに具現化することを求められていますが、それを達成するヒントとして、前述の学生の皆さんとの対話から学べることを整理してみました。

「短期間で、反省して、次にいく!」の図

短期間で、出来そうな奴を集める
(アイデアが閃いたら)
短期間で、とにかく手を動かし始める
短期間で、良い悪いを判断する
(悪ければ反省して)
短期間で、次にいく!

・短期間で出来そうな奴を集める
現行の組織や人材で出来ることを探す、または、出来る範囲に留めるのではなく、(場合によっては社内外問わず)組織の垣根を越えてチーミングする。スピードを買うという側面もありますが、初めての仲間との協業であるが故に産まれるアイデアがありうると、ハッカソンで垣間見ました。また、定常的組織ではないチームとの協業によって、これまで顕在化しなかったタレントを発見できるかもしれません。

・短期間で、とにかく手を動かし始める
アイデアが閃いても、時間の経過とともに徐々に冷静になって、とんがった部分が無くなって凡庸なレベルに落ち着いてしまいがちです。
ハッカソンで面白いプロダクトが創出されるのは、冷静になる前にプログラムを作っちゃうということがひとつの成功要因と思います。
企業だと、予算があって初めての何かを開始できるというのは普通ですが、いかに早くモノづくりを最高速に到達させるかがポイントといえます。

・短期間で、良い悪いを判断する
・短期間で、次にいく!
どんどん手を動かして形にしてみる、そして、良いか(育てる)悪いか(捨てる)を決める。ハッカソンにおける学生の皆さんの取り組みから感じるのは、未練たらしくダラダラとブラッシュアップを続けるよりはスパッと捨てる、そして次のアイデアへと気持ちを切り分ける。実際、ハッカソンの現場では、プロダクトを一度は完成させたものの、納得できず違うものを作り出す、といったチームもあったそうです。

つまり、アイデアの閃きからその判定までを如何に短期化できるか、短期化できればより多くのアイデアの検証や、より多くの失敗を糧にすることができるということです。

ハッカソンは、数十時間という極めて短い期間内でアイデアやスキルを競うイベントですので、上述の「短期間で」チーミング、作る、評価する、次にいく!をせざる得ない環境になっているのです。
だからこそ、様々な面白いアイデアや、キャラクターとハッカソンで出会えるわけです。

企業は、予算や組織といったガバナンスも重要で、ハッカソンの形態や文化はその対極にあるものが多いですので、ハッカソンそのままを企業に組み込むのは難しいかもしれませんが、上述のとおり、イノベーションを加速させるために取り入れるべきことがいろいろあると考えます。実際に、イノベーションの加速やタレント発掘を目的として、社内ハッカソンを検討している企業はいますので、その実証結果が公になってくるのが非常に楽しみです。そして、企業がより上手くハッカソンを使いこなせるようになれば、思いがけない人財が思いがけないアイデアを創出し、企業や社会に貢献できるようになる、夢じゃないと思います。

最後に、本コラムを読んで頂けました企業の方々でハッカソンを未経験の方は、是非一度体感されることを強くお勧めします。私が見た世界は、ハッカソンのほんの一部ですので、もっともっと多様な気づきがあろうと思います。ひとつ確実なことは、企業の皆さんも感動されて自社改革のモチベーションがアップすることです。

おめでとう、毛蟹ファンクラブ

今回インタビューの機会をくださった毛蟹ファンクラブの皆さん、ありがとうございました。そして、改めて日立コンサルティング賞おめでとうございます。
また、現地でお話させてもらったJPHACKS2015参加学生の皆さん、貴重な示唆を多々頂きありがとうございました。 また、どこかのハッカソンで再会できることを楽しみにしております。

以上

本コラム執筆コンサルタント

荒浪 篤史 株式会社 日立コンサルティング ディレクター

ハッカソンに協賛したことで、“スマホネイティブ世代”などと呼ばれる現役の学生たちと交流する機会を得ることができました。
物心ついた時から、日常にスマホがあって、SNSや動画共有サイトを当たり前に使いこなす世代は、こんなに凄い能力や感性をもっているんだと驚くことばかりでした。
当コラムでは、そのスマホネイティブ世代の能力がどのようなもので、これからのIT業界においてどんな活躍が期待できるのか、更に、我々企業は彼らとどのように向き合っていくべきかについて考察してみたいと思います。

※記載内容(所属部署・役職を含む)は制作当時のものです。

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