進化するガラパゴス経営

第1回
「国内重視」に潜む可能性

本コラムは『フジサンケイビジネスアイ』新しくウィンドウを開きます。へ2009年9月9日より2009年12月23日まで寄稿連載されました。

最近、「ガラパゴス化(現象)」という言葉をよく耳にする。日本発の商品・サービスが、閉ざされた国内市場で独自進化を遂げたため、海外市場に適応できなくなっていることを、ガラパゴス諸島の進化に例えて言い表したものだ。

「ガラパゴス化」は、そもそも日本の携帯電話業界を揶揄(やゆ)する言葉として使われ始めた。日本の携帯電話端末の機能は、iモードやワンセグテレビなどのソフト面から、電池やデザインなどのハード面に至るまで、世界で最も進化していると評価されている。

ところが日本の通信規格は、グローバルスタンダード(ISO規格)と異なっており、「輸出に際してのISO規格の順守」というWTO(世界貿易機関)の規定によって海外進出を阻まれ、結果的に海外でのシェアは10%程度にとどまっている。海外市場を視野に入れていなかったために起こった出来事といえる。

こういった現象は、主に(1)新市場で内需を優先し、グローバル展開が遅れている(2)国内の高度な要求に応え、サービスや製品が極度に進化してしまう(3)国内市場でシェア競争をしている間に、海外でデファクトスタンダード化が進展している(4)気がつけば、グローバル市場参入の機を逸している、という要因から発生する。

自国で商品やサービスが使いやすいように発展するのは、どの国でも当たり前のこととして起こる。しかし、グローバルスタンダードという欧米主導の市場ルールに従わざるを得ない状況下では、日本特有の国民性や言語の壁などもあいまって、「国外では通用しづらい(ガラパゴス化)」と、つい消極的な対応をするケースが少なくない。

しかし、日本のガラパゴス化は、日本語や感性、習慣、ものの見方など、固有の文化的特徴があればこそ生まれてきたものであり、このことは新たな商材や、ビジネスでの競争力を生み出す原動力でもある。

例えばデジカメやゲームの進化は、世界一厳しいといわれる日本の消費者の要求に応えるための、技術の高度化やサービスの洗練化によって、もたらされたものと考えられる。

この強みを見落として、結果のみを論評してしまうと、本質を見失ってしまうことになる。

この企画では、ガラパゴス化の問題の本質を探るとともに、この強みを生かし世界市場で勝利を収めるための戦略について考えていく。

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株式会社 日立コンサルティング 代表取締役 取締役社長
芦邉 洋司

1965年静岡生まれ。
大学卒業後、イーストマン・コダック社に入社。
その後、米国にて大学院に進みMBAを取得。
1992年、KPMG Peat Marwick監査法人ニューヨーク事務所に入社。
監査・税務業務・経営コンサルティングに従事。
1997年、同社日本事務所開設にあたり帰国。
大手ハンバーガーチェーン経営戦略本部を経て、現在日立コンサルティング代表取締役 取締役社長。
趣味は外洋ヨットレース。プライベートな時間は駿河湾にて外洋ヨットのクルーを楽しむ。

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