進化するガラパゴス経営

第5回
水ビジネス 日本パワー見せ場

本コラムは『フジサンケイビジネスアイ』新しくウィンドウを開きます。へ2009年9月9日より2009年12月23日まで寄稿連載されました。

水資源に恵まれた日本にいると、「世界的な水不足」という言葉は実感しづらい。

しかし、他のエネルギー資源と違い、代替がきかない水の確保は21世紀の深刻な課題だ。その解決には、優れた英知と高度な技術が欠かせない。

日本にとっては、世界市場に打って出る“超ガラパゴス”戦略の観点からしても、大きなビジネスチャンスなのである。

今回から、世界市場をターゲットにした、日本のウオータービジネスの可能性を探ってみる。

地球上では今、爆発的な人口増加と生活様式の変化によって、多くの国が水不足に悩んでいる。生活用水の不足だけでなく、農牧業への悪影響、生態系の乱れ、汚水による衛生上の問題や水の汚染などが報告されている。

世界的な規模で、安全な飲料水と衛生施設の確保、生態系の保全、水資源の効率的な利用と効果的な配分などが喫緊の課題になっている。

食料の60%以上を輸入に頼る日本にとっては、この状況はひとごとではない。実は小麦1キログラムを得るには2000リットル、牛肉1キログラムを得るには2万リットルもの水が必要なのだ。

輸入食料の生産に必要な水(バーチャルウオーター)の総量は、年間800億立方メートル(環境省資料)にもなる。これは、日本の年間水道使用量の約8倍に当たる。

世界の水問題は、日本の食糧危機と直結しているのである。

2004年3月に発足した「国連水と衛生諮問委員会」では、初代議長を日本の橋本龍太郎元首相が務めたこともあって、日本の存在感は大きい。高度な処理技術による水の浄化や再生利用、人工衛星を用いた水循環のモニタリングやシミュレーションによる水源管理など、技術や経験を多く持つ日本への期待は大きい。このチャンスを逃す手はない。

世界の水問題に対して、日本は数多くの貢献や提案を行える力をもっている。むしろ、自らの問題として、世界に貢献していかなければならないとも言える。

当然、そこには大きなビジネスチャンスがある。水の再利用ではプラント建設や素材、機器関連で、メーカーや商社を軸に大きなアドバンテージを有している。中でも世界をリードしているのは、逆浸透膜技術だ。

次回は、この逆浸透膜を生かした日本の可能性を検証してみる。

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株式会社 日立コンサルティング 代表取締役 取締役社長
芦邉 洋司

1965年静岡生まれ。
大学卒業後、イーストマン・コダック社に入社。
その後、米国にて大学院に進みMBAを取得。
1992年、KPMG Peat Marwick監査法人ニューヨーク事務所に入社。
監査・税務業務・経営コンサルティングに従事。
1997年、同社日本事務所開設にあたり帰国。
大手ハンバーガーチェーン経営戦略本部を経て、現在日立コンサルティング代表取締役 取締役社長。
趣味は外洋ヨットレース。プライベートな時間は駿河湾にて外洋ヨットのクルーを楽しむ。

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