進化するガラパゴス経営

第6回
競争優位性の確保が課題

本コラムは『フジサンケイビジネスアイ』新しくウィンドウを開きます。へ2009年9月9日より2009年12月23日まで寄稿連載されました。

フジサンケイビジネスアイ掲載版はこちら新しくウィンドウを開きます。

ウオータービジネスには、日本にとって大きな大きなチャンスがある。

前回触れたように、水を浄化する素材として注目を集める逆浸透膜(RO膜)技術で、日本は世界をリードしている。

濾過(ろか)膜の一種である逆浸透膜は、水を通すがイオンや塩分などの不純物は通さない。この性質を利用して「逆浸透膜浄水システム」が開発された。

応用例の一つに海水の淡水化システムがある。そこで用いられる逆浸透膜では、日本企業が世界シェアの約7割を占める。

しかしながら、2025年には100兆円にも到達するといわれるウオータービジネス市場にあって、素材供給に関する市場は約1兆円にしか過ぎない。

日本はまだ要素技術の一分野を制したに過ぎないのだ。

ウオータービジネスの主戦場は、上下水道サービスにかかわる事業である。ここでは「ウオーターバロン(水男爵)」と呼ばれる欧州の巨大水道事業者が支配的な力を持っている。

そのような中、逆浸透膜において優位性を築いた日本の強みは、どこにあったのだろうか。

国際競争力を強化するための「超ガラパゴス戦略」の戦略オプションには、以前紹介した「アイソマーケット化」のほかに「グローバル規格化」「市場の創造」「競争優位性の確保」というアプローチがある。

「市場創造戦略」には、「これまでにない価値を提供し市場を創造する」方法と、「低コストで提供可能なビジネスモデルを構築する」方法がある。

逆浸透膜は前者である。日本企業は膜処理の多様な先端技術を組み合わせ、新しい素材(価値)を創出した。それをテコにウオーターバロンにとって未開の、逆浸透膜による海水淡水化プラントという新市場を切り開いたのである。

その一方で、「競争優位性の確保」も重要である。これは、「技術流出や模倣を防ぐことで、後発の参入を阻むこと」。 つまり、競合に対し抑止力を効かせつつ、より統合された市場にしてしまう、ということである。

逆浸透膜について言えば、技術的先進性・優位性を堅持、差別化要因としつつ水サービス事業へ参入する、などが考えられる。

参入障壁を形成すべく積極的な市場創造を仕掛けることは、より大きな市場での勝利へと通じるだろう。

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株式会社 日立コンサルティング 代表取締役 取締役社長
芦邉 洋司

1965年静岡生まれ。
大学卒業後、イーストマン・コダック社に入社。
その後、米国にて大学院に進みMBAを取得。
1992年、KPMG Peat Marwick監査法人ニューヨーク事務所に入社。
監査・税務業務・経営コンサルティングに従事。
1997年、同社日本事務所開設にあたり帰国。
大手ハンバーガーチェーン経営戦略本部を経て、現在日立コンサルティング代表取締役 取締役社長。
趣味は外洋ヨットレース。プライベートな時間は駿河湾にて外洋ヨットのクルーを楽しむ。

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