進化するガラパゴス経営
※本コラムは『フジサンケイビジネスアイ』
へ2009年9月9日より2009年12月23日まで寄稿連載されました。
2025年に100兆円もの巨大市場に達すると予想されるウオータービジネス。日本がこの事業分野で狙うべきは、やはり上下水道などのサービスだろう。日本企業が優位に立つ膜処理ビジネスは、ウオータービジネス全体からすれば、わずか1%程度の市場規模でしかないためだ。
欧米諸国では上下水道事業の民営化が進み、欧州の水事業者は電力供給、交通、廃棄物処理などの社会インフラ事業をも統合し、巨大なコングロマリットを形成している。「ウオーターバロン(水男爵)」と呼ばれる上位3社は世界の水道市場の約8割を占める。
その一つ、ヴェオリア・エンバイロメント傘下のヴェオリア・ウオーターは日本にも進出し、事業の受託を始めている。同ビジネスでは、日本は国内でさえも完全に守勢だ。得意とする「逆浸透膜」の供給でさえ、近年は欧米企業からの値引き攻勢にさらされている。
ただ、巻き返しの動きが出てきた。この10月15日、経済産業省の「水ビジネス国際展開研究会」(座長・伊丹敬之東京理科大大学院教授)の初会合が開かれた。約10社の水関連企業のトップをはじめ、学識経験者や自治体、商社、部品メーカーなどの担当者が委員として参加し、今後、官民を挙げた事業戦略の検討が本格的に行われる。
設備建設から維持管理、運営までバリューチェーン全体に力を持つ海外勢に戦いを挑むべく、ようやく世界へ切り込もうというものだ。
日本は、限られた水資源の中で、工業用水の確保や生活用水の需要増大に対応し、高度経済成長を達成した。その背景には、優れた節水技術、効率的な水管理システムがある。日本の省水技術や耐震・漏水防止技術などの水資源管理ノウハウは、世界が必要とするものでもあり、ウオータービジネスの主戦場でも十分通用するはずだ。
世界中で「水の安全保障」が注目され、各国が国を上げて戦略的に取り組む中、日本はともすれば、産学官の足並みがそろわなかった。今ようやく産学官連携した水事業のサービス統合、海外進出の機運が盛り上がっている。
得意とする逆浸透膜などの技術と、この取り組みがかみ合うことで、他国の参入を阻む形での市場創造も不可能ではないだろう。それが「超ガラパゴス」でもあり、日本はウオータービジネスで大きなチャンスをものにできるに違いない。

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1965年静岡生まれ。
大学卒業後、イーストマン・コダック社に入社。
その後、米国にて大学院に進みMBAを取得。
1992年、KPMG Peat Marwick監査法人ニューヨーク事務所に入社。
監査・税務業務・経営コンサルティングに従事。
1997年、同社日本事務所開設にあたり帰国。
大手ハンバーガーチェーン経営戦略本部を経て、現在日立コンサルティング代表取締役 取締役社長。
趣味は外洋ヨットレース。プライベートな時間は駿河湾にて外洋ヨットのクルーを楽しむ。
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産学官連携で水ビジネス攻勢
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