進化するガラパゴス経営

第8回
電動自転車 欧米文化の理解必要

本コラムは『フジサンケイビジネスアイ』新しくウィンドウを開きます。へ2009年9月9日より2009年12月23日まで寄稿連載されました。

フジサンケイビジネスアイ掲載版はこちら新しくウィンドウを開きます。

エコ意識の高まりもあって、電動アシスト自転車が人気を集めている。2008年には約27万台が生産された。これは国内自転車生産台数の29%にもなる。国内で急激に成長する一方、輸出入は極めて少ない。電動アシスト自転車は、日本の道路交通法という独自規格のもと、国内で生産され、国内で利用されるという「ガラパゴス進化」の側面をもつ商材だ。

ところが、自転車先進国の欧州でも「ペデレック」(Pedelec)という名称で普及の兆しがうかがえる。電動アシスト自転車は、グローバルスタンダードに発展する可能性を秘めているのだ。今回と次回の2回は、このガラパゴス商材を取り上げてみる。

1993年にヤマハ発動機が発売した電動ハイブリッド自転車「PAS(Power Assist System=パス)」が世界初の電動アシスト自転車とされる。

誕生以来、着々と進化を遂げ、バッテリーの改良によって走行距離が伸びただけでなく、車体の軽量化も進んだ。昨年末の道路交通法施行規則の改正により、モーターによるサポート(補助率)が従来の2倍に引き上げられた。さらには、走行中に充電もできるタイプまで登場している。

環境モデル都市を標榜(ひょうぼう)する長野県飯田市は「自転車のまちづくり」を目指して、この10月26日に自転車の市民共同利用システムをスタートさせた。そこでも活躍するのは電動アシスト自転車だ。

国内で進化を遂げた商材やビジネスが、グローバルスタンダードへと発展したケースを、「超ガラパゴス戦略」では、「国際競争力強化ベクトル」と呼んだ。

それでは電動アシスト自転車の場合、どう取り組んだらいいのだろうか。自転車は生活に密着した移動手段である。そのため欧州、米国などの市場開拓を目指す場合、「自転車文化」を知ることから始める必要がある。

例えば欧州では自転車が早くから普及しており、文化も成熟している。英国には「救急自転車」があり、フランスでは「ヴェリブ(Velib)」と呼ばれるレンタサイクルシステムが動き出した。

また、英国、オランダには総延長2万キロメートル前後にも及ぶ充実した自転車専用道路が整備されている。

その欧州でも普及し始めている電動アシスト自転車だが、規格の違いもあり、日本製品の進出は遅れている。欧州市場での成功には、何が必要なのだろうか。次回、このことを検証してみる。

ページの上に戻る

株式会社 日立コンサルティング 代表取締役 取締役社長
芦邉 洋司

1965年静岡生まれ。
大学卒業後、イーストマン・コダック社に入社。
その後、米国にて大学院に進みMBAを取得。
1992年、KPMG Peat Marwick監査法人ニューヨーク事務所に入社。
監査・税務業務・経営コンサルティングに従事。
1997年、同社日本事務所開設にあたり帰国。
大手ハンバーガーチェーン経営戦略本部を経て、現在日立コンサルティング代表取締役 取締役社長。
趣味は外洋ヨットレース。プライベートな時間は駿河湾にて外洋ヨットのクルーを楽しむ。

ページの上に戻る


ページの上に戻る