進化するガラパゴス経営

第9回
技術と異質なサービス結合

本コラムは『フジサンケイビジネスアイ』新しくウィンドウを開きます。へ2009年9月9日より2009年12月23日まで寄稿連載されました。

フジサンケイビジネスアイ掲載版はこちら新しくウィンドウを開きます。

電動アシスト自転車は、2008年に国内売上高がついに原動機付自転車を上回るなど、急速に市場を拡大している。それだけに、海外展開の大きな可能性を秘めているといえる。しかし、規格や文化の違いから、高い障壁があるのも事実。海外市場への参入はこれからというのが実情だ。

例えば自転車が生活に浸透している欧州で成功するためには何が必要なのだろうか。

 「シマノ」という日本企業がある。競技用自転車やスポーツ自転車の駆動系部品で、世界シェアの8割を占めるメーカーだ。同社は完成車の販売には乗り出さず、自転車部品メーカーとして製品投入、販売促進、高機能化、買い替え促進という需要が着実に創出されるためのサイクル形成に徹した。

コンポーネント化による高機能複合部品の供給と、そのための弛(たゆ)まないイノベーションに資源を集中したことが成功の要因だろう。

電動アシスト自転車は、バッテリー、モーター、制御機構など各部品のデリケートな連携によって機能を発揮する。製品の違いもあって、シマノの戦略をまねれば、同じように成功するとはかぎらない。しかし、海外市場を目指す上では十分なお手本だろう。電動アシスト自転車も、こうした統合型(インテグラル型)生産方式になじみやすいからだ。

 「日本の強み」を徹底的に発揮し、競争優位性を確保するには、何をコアとするかを定め、さらに、技術流出を阻止して海外に盗用されない工夫を凝らすことが決め手になる。

また、製品販売に加えて、異質なビジネスを結合させることも有効だろう。

自転車保険を組み合わせて販売するのも、一例として挙げられる。安全機能を装備した自転車については、保険料の割引制度を設けるといった工夫の余地が見えてくる。

盗難保険では、日本の高度な盗難防止技術を装備していたら、保険料割引の対象とするのも一案。盗難リスクの高い国では、大きなメリットとして消費者へ訴求できる。

年間契約による継続的な保守サービスとの組み合わせも考えられるだろう。コピー機業界が成功を収めた戦術だ。保守サービスを組み合わせることは、日本製品の故障の少なさや、日本特有のアフターサービスのきめ細かさを海外の消費者に印象づける効果がある。

こうした「日本の強み」を際立たせるサービスとの連携は、海外進出を果たすうえでの強い武器になる。

統合型生産や異質なサービスを織り交ぜて、戦略的に優位なビジネス環境を形成することができれば、日本の電動アシスト自転車が欧州市場を席巻するのも決して夢ではないだろう。

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株式会社 日立コンサルティング 代表取締役 取締役社長
芦邉 洋司

1965年静岡生まれ。
大学卒業後、イーストマン・コダック社に入社。
その後、米国にて大学院に進みMBAを取得。
1992年、KPMG Peat Marwick監査法人ニューヨーク事務所に入社。
監査・税務業務・経営コンサルティングに従事。
1997年、同社日本事務所開設にあたり帰国。
大手ハンバーガーチェーン経営戦略本部を経て、現在日立コンサルティング代表取締役 取締役社長。
趣味は外洋ヨットレース。プライベートな時間は駿河湾にて外洋ヨットのクルーを楽しむ。

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