進化するガラパゴス経営

第11回
「Wii」快進撃 2つの要因

本コラムは『フジサンケイビジネスアイ』新しくウィンドウを開きます。へ2009年9月9日より2009年12月23日まで寄稿連載されました。

フジサンケイビジネスアイ掲載版はこちら新しくウィンドウを開きます。

任天堂のゲーム機「Wii」はデビューとともに、世界市場を席巻した。発売された2006年12月から09年3月までの販売実績は、ゲーム機本体が約2600万台、ソフトウエアが約2億500万本だ。しかも、海外での人気は日本国内をしのいでいる。

「Wii」はソニーの「プレイステーション」のように、突出した情報処理速度やハイビジョンの映像出力を持っているわけではない。

「Wii」が強力なライバル商品を抑えて、ここまで躍進した要因として、2つの戦略を挙げることができる。その一つが、これまでゲームをしていなかった層を新たに取り込むという市場創造戦略。もう一つが「クールジャパンコンテンツ」と呼ばれる日本のゲームソフトの面白さを前面に押し出したアイソマーケット戦略だ。

アイソマーケットは「ジャパニゼーション」と言い換えてもよい。この2つの戦略の融合が勝利のカギとなったといえる。

「Wii」は、従来にない発想で技術を組み合わせた体感型のユーザーインターフェースを備えている。そのユーザーフレンドリーなプラットホームの上に、多様なコンテンツやアプリケーションを展開し、旧来のゲーム機の枠をはみ出していく。

例えば、「Wiiチャンネル」のように伝統的なゲームとは異なるコンテンツやサービスを提供することによって、ゲーマーではないユーザーを「Wii」の世界に取り込む。

毎日「Wii」に電源を入れる習慣を促すような「Wii Fit」(専用のフィットネストレーニングソフト)も一つのパスだ。「Wii」は、ゲームマニアだけではなく、素人が楽しめる独自の遊び方を創造した。まさに、衰退期に入りかけていたゲーム業界にパラダイムシフト、革命を起こした。

これまで培われてきた日本の“ゲーム文化”が再度世界に影響力を持つことになった。

だが、ここへ来て「Wii」の勢いにも陰りが見えている。任天堂が10月末に発表した9月中間連結決算は売上高が前年同期比34.5%減の5480億円、営業利益が同58.6%減の1043億円と4年ぶりに減収減益になった。

これまで同社の快進撃を支えてきた「Wii」の販売は曲がり角を迎えている。加えてライバルといえる製品も登場してきた。ゲーム機としても使える米アップルの携帯電話「iPhone(アイフォーン)」の出現は脅威となっている。

 「Wii」を生んだ任天堂には、新しい生活文化の創造にまで踏み込む戦略によって、“超ガラパゴス”的強みを大いに発揮し、日本産業の新たな牽引(けんいん)役になってもらいたい。

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株式会社 日立コンサルティング 代表取締役 取締役社長
芦邉 洋司

1965年静岡生まれ。
大学卒業後、イーストマン・コダック社に入社。
その後、米国にて大学院に進みMBAを取得。
1992年、KPMG Peat Marwick監査法人ニューヨーク事務所に入社。
監査・税務業務・経営コンサルティングに従事。
1997年、同社日本事務所開設にあたり帰国。
大手ハンバーガーチェーン経営戦略本部を経て、現在日立コンサルティング代表取締役 取締役社長。
趣味は外洋ヨットレース。プライベートな時間は駿河湾にて外洋ヨットのクルーを楽しむ。

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