進化するガラパゴス経営

第11回
世界で「カワイイ」市場の確立を

本コラムは『フジサンケイビジネスアイ』新しくウィンドウを開きます。へ2009年9月9日より2009年12月23日まで寄稿連載されました。

フジサンケイビジネスアイ掲載版はこちら新しくウィンドウを開きます。

外務省が「カワイイ大使」(正式名称ポップカルチャー発信使)を任命している。伝統文化・芸術に加え、日本発のポップカルチャーを通じ、日本をPRするのが狙いだ。

今や誰もが、対象の性別や年齢、生物か無生物であるかなどを問わず、無造作に「カワイイ」と口にするようになった。

この言葉は、おそらく漢語にも、西洋の言語のいかなる単語にも置き換えられない意味と機微を持つ日本語といえるだろう。この日本独自の感性である「カワイイ」は、漫画やアニメ、ゲームだけでなく、ギャルやゴスロリ、女子高生ファッションなどにも共通する日本を代表するソフトパワーである。

「カワイイ」ビジネスは、「超ガラパゴス戦略」でいう「アイソマーケット戦略」であり、日本らしさ、日本の強みで世界に挑み、日本を世界に普及させて浸透させていく、すなわちジャパナイゼーションを促進する戦略と位置付けることができる。

関連するビジネスを見ると、例えば、秋葉原を訪れる外国人観光客は年間およそ900万人に達し、マンガやアニメなどオタク文化と呼ばれる市場規模は国内で2000億円とも4000億円ともいわれている。

グローバルでは、日本文化にあこがれる若者たちを指す「哈日(ハオリー)族」が発生した台湾をはじめ、中国、フランス、イタリア、米国と日本のマンガやアニメで育った世代が「カワイイ」を感覚的に理解しはじめてきたようだ。

彼らは横文字では逆開きになるマンガを苦にもせずに読んでしまう。

グローバル化が進む「カワイイ」の次なる課題は、海外への知財・経営資源の流出防止、つまり、外国の模倣や追随をいかに阻むかだろう。

 「カワイイ」ファッションを生み出す渋谷や原宿のストリートカルチャーの進化は目まぐるしい。街並みが何百年と変わることのない欧州人には、このスピード感が魅力なのだろう。

この迅速さは、彼らの追随をも拒む。日本特有の感性から生まれた「カワイイ」は、変化のスピードが加わることによって他の模倣を許さぬ価値創出のブラックボックスとなる。

 「カワイイ」がグローバルで普遍的な価値を確立しその市場をおさえるためには、暗黙知のままで終わらせず、日本らしさとして残すもの、外に出していいものを編集し、絶えず変化を発信し続けることが重要であると考える。

ページの上に戻る

株式会社 日立コンサルティング 代表取締役 取締役社長
芦邉 洋司

1965年静岡生まれ。
大学卒業後、イーストマン・コダック社に入社。
その後、米国にて大学院に進みMBAを取得。
1992年、KPMG Peat Marwick監査法人ニューヨーク事務所に入社。
監査・税務業務・経営コンサルティングに従事。
1997年、同社日本事務所開設にあたり帰国。
大手ハンバーガーチェーン経営戦略本部を経て、現在日立コンサルティング代表取締役 取締役社長。
趣味は外洋ヨットレース。プライベートな時間は駿河湾にて外洋ヨットのクルーを楽しむ。

ページの上に戻る


ページの上に戻る