進化するガラパゴス経営

第13回
日本の独自性を「強み」とせよ

本コラムは『フジサンケイビジネスアイ』新しくウィンドウを開きます。へ2009年9月9日より2009年12月23日まで寄稿連載されました。

フジサンケイビジネスアイ掲載版はこちら新しくウィンドウを開きます。

1990年代初頭のバブル崩壊ともにグローバリズムが常識化し、同時に日本は自信を喪失していった。90年代から続く「失われた20年」だ。

グローバルスタンダードと独自路線を選択することの違いが、何を意味するのかを見失った時代ともいえる。そうした時代を背景に、携帯電話端末を固有の方式で進化させたことを、「ガラパゴス化」と呼ぶ自嘲(じちょう)気味な言葉も生まれた。

確かに世界市場を視野に入れた戦略が不足していたため、海外市場への進出に苦戦しているのは否めない。しかし、日本の携帯は技術的に世界が驚く水準にあり、サービスとなっていることは間違いない。

これまでの連載で、私は「超ガラパゴス戦略」を提唱してきた。「ガラパゴス」的進化を遂げてきた日本固有の商材やビジネスこそ強みととらえ、世界市場に戦いを挑むための戦略である。

単に「ガラパゴス化」を礼賛するのではない。それぞれのビジネスで、国内に残すもの、海外に出すものを選別して、かつ外国の模倣と追随を許さぬ、勝ち続ける力を維持するための仕掛け作りこそ、「超ガラパゴス戦略」の狙いである。

日本は海に囲まれ、どの国とも大きく構造の異なる固有の言語を母国語とし、近代まで長らく限定された外国との交渉のみに終始してきた。

そのような環境だからこそ、独自の思考法、習慣、文化の土壌がはぐくまれた。その土壌に育った商品やビジネスは当然のように独自性が強い。だからこそ、それは強みとなる。

実際、「ガラパゴス」的進化を遂げて、世界を席巻した日本発の商品やビジネスは枚挙にいとまがない。アニメ、カップめん、カラオケ、テレビゲーム、産業用ロボットなどだ。

 今後の世界を舞台としたビジネスでは、当たり前のようにわれわれの想像より国益にシビアで、はるかに狡猾(こうかつ)な国を相手に戦っていくことになる。新興国の経済的な台頭、欧州連合(EU)の域内貿易の進展など世界は多極化が進んでいる。グローバルビジネスの潮流も、従来は対象としてこなかった年収3000ドルの層ながら全世界で4兆ドル規模になる市場をターゲットとしたビジネスや、エコビジネスが注目を浴びようとしている。既存のルールだけでは通用しない、羅針盤なき大航海時代の経営環境において、「超ガラパゴス戦略」がその一翼を担えるのであれば望外の喜びである。=おわり

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株式会社 日立コンサルティング 取締役
芦辺 洋司

1965年静岡生まれ。
大学卒業後、イーストマン・コダック社に入社。
その後、米国にて大学院に進みMBAを取得。
1992年、KPMG Peat Marwick監査法人ニューヨーク事務所に入社。
監査・税務業務・経営コンサルティングに従事。
1997年、同社日本事務所開設にあたり帰国。
大手ハンバーガーチェーン経営戦略本部を経て、現在日立コンサルティング取締役。
趣味は外洋ヨットレース。プライベートな時間は駿河湾にて外洋ヨットのクルーを楽しむ。

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