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ワーキングマザー特集

計4年の育休後に復職。受けた恩は次世代に送り、皆が働きやすい社会をめざしたい。

社会イノベーションコンサルティング本部
シニアコンサルタント 佐藤 千鶴子

Sato's Profile 戦略系のコンサルティングファームから2013年3月にシニアコンサルタントとして入社。第一子・第二子の出産で続けて約4年間産休・育休を取得し、2020年6月にフルタイムで復帰。現在は経営改革推進支援に携わる。

ワークとライフどっちを選ぶ?
葛藤の末「両方選ぶ」という選択

写真:佐藤 千鶴子

元々仕事が大好きで、ワーク100%どころか、180%的な仕事の仕方を好んでいました。コンサルタントとしての成長、スキルアップ、キャリア形成等、ワークを充実させたい思いが強いタイプです。
日立コンサルティングのこのタイプの人へのサポートは、かなり充実していると思います。業務内容や難易度はプロジェクトにも依りますが、やってみたい仕事や一段レベルの高い仕事等、本人の意思があればチャレンジさせて貰える機会は多いと思います。また、自身が強化したいスキルや知識習得のために必要な外部研修等を社費で受けさせて貰ったりもしていました。ワークを充実させたい思いにきちんと応えてもらっていると思います。

そして結婚を機に最初の変化点を迎えます。それまでの仕事中心の生活で、自分が思い描く暖かい家庭が築けるのか、と漠とした不安がありました。また現代は女性の社会進出や晩婚化等により、5人に1人が妊活をする時代(フェムテックについて)。中々女性同士ですら話す機会はありませんが、何となく不安感を覚えている方も多いのではないでしょうか。

性別、結婚の有無、年齢に関係なく、キャリアの線一本だけを見て、キャリアを直線的に設計する訳にはいきません。キャリアの線に、ライフの起伏の多い線を重ね合わせ、立体的かつ長期的にとらえる必要があります。女性はただ、子どもを持ちたいと思った場合に適齢期があったり、ホルモンバランスの変化による更年期障害があったり、その必要性が少し高いのだと思います。そして往々にして、キャリアを重視したいタイミングと、ライフを転換させたいタイミングが重なってしまうことに、大変な葛藤があるのだと思います。

私も正にその葛藤の中に居ました。当時海外事業の立ち上げに従事し、高い頻度の海外出張等で多忙な日々を過ごしていました。そして、もう少しゆったり仕事ができる職場を探すべきかと考えたりもしました。ですが、どんな仕事も楽な仕事などありません。ライフを充実させるためには、仕事の<難易度><量><タイミングの柔軟性>の調整が必要です。<難易度>が落ちても<量>が増えたら意味が無い。<量>が減っても絶対その日にやらなければならないという<タイミングの柔軟性>が落ちたら意味がありません。そのため、既にクライアント・上司等との間で信頼関係ができている場所でまずは相談し、ダメだったら考える事としました。

「結婚を機にライフに少し軸足を移した仕事をしたい」と、無茶苦茶と思われる相談でしたが、相談を受けた上司は大変真摯に相談にのってくださり、その後数か月程度だったと思います。新しいメンバーの採用、海外出張ミッションの移管、クライアントとの調整等、大変スピーディに対処してくださったのです。
そして、無事第1子妊娠に至ります。クライアントと新しいメンバーからのご理解と多大なる支えもあり、妊娠中の検診等も、問題なく対応できました。クライアント、会社、上司、メンバーには感謝しかありません。

そしてプロジェクトの切りのよりタイミングと有給消化を含め、規定よりも1か月程早めに産休に入らせて頂きました。ライフ100%時代への突入です。

約4年のライフ100%時代から復職へ
子どもと共に社会や仕事に夢を持ちたい

育休中は大変ながらも、家事も育児もとっても新鮮で、楽しくて仕方ありませんでした。仕事については、上司と、会社の状況や復帰に向けた考え等を含めた定期的な情報共有をしていたくらいでしたが、ライフ100%の生活の中でも、会社側とのコミュニケーションが途絶えることがなかったのは大変ありがたかったです。
そして復職を考えていた最中、2人目を妊娠し、育休を延長。更に、生後半年で第2子の病気がわかり更に育休を延長。復職まで子ども二人で計約4年間、連続して育休を取らせて頂きました(1人の子どもに対して、小学校1年修了時の3月31日までの通算3年を限度に必要な期間取得が可能)。これ程長い育休取得は、世間一般では多くないと思いますが、会社側とのコミュニケーションや申請手続き等もスムーズでした。形骸化された制度ではなく、実際に活用できる、活きた制度だと思います。

正直に言うと、当初は復職に対しポジティブな考えを持っていませんでした。家族を含め身近にワーママが居なかったこともあり、復職を応援してくれる人があまりいなかったためです。「子どもが小さいのに可哀そう」といった何気ない一言にいちいち揺さぶられていました。またコンサルタントとしてある程度タフな仕事も容易に想像できましたし、自分自身としても以前とは違う仕事の仕方が本当にできるのか、想像がつかなかったのです。ですが、2つのできごとをきっかけに、復帰に前向きな気持ちを持つようになりました。

一つ目は今でも師と仰ぐ、上手に周囲のサポートを受けながら、第一線で医師として活躍されているママ友の一言でした。「将来子供も仕事をするようになる。ひとりの人間として“仕事は辛いし大変、でも楽しい!”と夢を追い、頑張る母の姿を身近で見せることの何がそんなに悪いの?社会に出ることが何となく楽しそうだなって思ってもらえたらよくない?」完全に新しい発想でした。「そうか、周囲が言う理想の母親像を演じる必要はないんだ、子どもと一緒に探していけばいいんだ」と思えるようになりました。

そして二つ目のきっかけは、コンサルタントとして従事する中で勉強したコンサルティング手法を最大限に駆使し(笑)、家事業務の棚卸・分析に着手したことです。第二子の病気の発覚で家事時間が極端に減ったことが契機でした。見えない家事プロセスの見える化、優先順位付け、代替手段の検討、外注と内製の比較評価等・・・。
そして「子どもと過ごす時間」以外に「私でなければならない」事ってあまりない、と気づきます。結果、シルバー人材センターを活用した食事作り支援、ロボット掃除機等の家電活用、区の子育て支援チケットの利用等、家事の軽量化・最適化に取り組みます。こだわりを少し和らげるだけで、それほど費用をかけずにたくさんの選択肢が溢れていることに驚きました。子どもの病気が落ち着いてからは、逆に家事が軽量化され若干暇になりすぎて物足りなくなったくらいです。
そして、自分が仕事に戻っても十分やっていけるのではないか、と思えるようになり、ライフ100%から、一気にワークへと軸足を戻します。

段階を経た復職と
キャリア形成
育児も仕事も諦めない働き方

復職を決意後、上司と何度も相談を重ね短期/中長期的な働き方を擦り合わせ・具体化していきました。当時の整理はおよそ以下の3Stepです。

◆Step1(最初の1〜2か月):生活スタイル確立が主眼。即座にクライアントとかかわりのあるプロジェクトに入るのではなく、まずは社内の自社サービス開発案件やプロジェクトの後方支援等から担当。
◆Step2(3か月〜半年):実案件に参画開始。ワークライフバランスを見定めつつ仕事の質を少しずつ高めることが主眼。
◆Step3(半年以後):ライフの状況を見つつ、積極的なキャリア形成とキャリアアップをめざす。

Step1の慣らしワークでは、4年も休んでいた為、新しいITツールに慣れる、会話のスピードに慣れることだけでも精一杯でした。上司が提案してくれた様に、段階を経てプロジェクトに入ったことで、スムーズな復帰ができたことに感謝しています。
また、Step2/3の実案件やキャリア形成段階では、大きく変わった生活スタイルを前提に、従事するプロジェクトやタスクに関する希望を、都度上司とすり合わせし、最大限こちらの希望を汲んでいただいていると思います。

併せて、コロナ禍でリモートワークが大前提となったことは本当に有難いですね。以前からITツール・リモートワークの制度自体はありましたが、コロナ禍で完全に定着し、私の場合、ほぼ100%在宅で、多い時でも週1〜2回程度の出社です。移動時間や外出の準備時間なく仕事の時間ができるので、1日3-4時間程度の時間的余裕があると思います。

今ではワーママ生活に大分慣れましたが、とはいえ、やはり大変なこともあります。子の体調不良、コロナ禍での保育園閉鎖等、アンコントローラブルな育児イベントが沢山起こる事です。そしてそういうタイミングに限って、大事な仕事があったり・・・。

そんな中で心がけていることは二つです。一つは、生活面での代替手段をできる限り整備しておくこと。病児保育やシッター等の登録と利用等が含まれます。これらには福利厚生制度のポイントを活用することができるので、費用負担の面で大変ありがたいです。

そして二つ目は、それでも仕事を優先できない時、周囲の皆様に支援してもらったら、罪悪感をもつよりも感謝をすること。これは実際に私が復職後に初めて子どもが緊急入院した時のことです。入院が決まり仕事の調整のため上司へすぐに電話するも、パニックで「入院することに・・・」としか言えず、フリーズしてしまいました。上司は「わかった。後は任しとけ。」とだけ言い、お客さまとの調整・社内への連絡、自分のタスクの代打等即座に対応してくださったんです。また、情報を受けとった本部長も私が持っていたタスクを名指しで他のメンバーに割り振る、期日の後ろ倒しの検討など、瞬間的に対応してくださいました。口だけではなくそれぞれのメンバーが手を動かしてくださったことが何よりも心強く有難かったです。

後日本部長からは「会社としてのサポートは至極当たり前にできる会社にしたいので、過度に負担に思わないでください」とメッセージを頂き、私もいつか誰かに、同じように返していきたいと強く思うようになりました。

Message

私は多くのライフイベントを日立コンサルティングと共に過ごして来ました。そのために、多くの方々から支援を受け、だからこそ、子どもに向き合う時間も、コンサルタントとしてのキャリアの、どちらも諦めずにいられると思います。
今後は、育児だけでなく、介護や、自身の夢ややりたいこと等、各メンバーが大事にするものを尊重し、支援していけるようなコンサルタントになり、恩返しをしていきたいです。

Special Movie

ライフもワークも諦めない働き方の秘訣

スペシャルムービー:佐藤 千鶴子
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