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産業集積地における中小製造業のデジタル化を用いたイノベーションへの取り組み紹介

【はじめに】

このコラムでは、大田区産業集積地における中小製造業を対象にしたイノベーションとデジタル化への取り組みを紹介する。中小製造業に適したデジタル化の姿、そして、そこに到達するために何をしてきたのかを説明する。なおこのコラムでは、デジタル化を「手書きの指図書や伝票などのアナログ情報を、ITを用いてデジタルデータへ変えていくこと。このデジタルデータを生かして新しい価値を生み出すこと」と定義して進めていく。

2016年から推進しているこのプロジェクトでは、中小製造業複数社を対象にしたデジタル化を用いたイノベーションによる売り上げ拡大の実現を目的としている。中小製造業のデジタル化を成功に導くため、さまざまな実証実験を重ねることで、中小製造業に適しているデジタル化とは何か、適していないものは何か、さらに、デジタル化推進時に意識すべきことは何かを検証してきた。その結果、デジタル化によるイノベーションを実現するためには、各企業へのツールの導入を進めるだけではなく、デジタル化の考え方を浸透させていく仕組みの構築、各社のビジネスモデルの変革、身の丈に合うツールの導入がポイントであることが明確になった。
中小製造業のデジタル化について、大企業のスマートファクトリーのような現場の可視化、生産性向上などを展開しようとする考え方を聞くことがある。しかし、本プロジェクトの実証結果は「それだけでは中小製造業のデジタル化を十分に成功させることは難しい」ことを示唆している。
大田区製造業の人々と密着した活動を通して日立コンサルティングが獲得してきたノウハウを、本コラムを通して共有する。これにより、多くの中小製造業が直面しているデジタル化 で、回り道せず、失敗をできるだけ少なくしていきたいと考えている。そして、日本国内の中小製造業のデジタル化を加速化させ、国内製造業の変革と中小企業の業績改善、働く人々の仕事・生活の満足度向上を実現していきたい。

取り組みの紹介では、前半の1章〜3章では、プロジェクトの全体像、大田区が抱えていた課題、大田区製造業の産業集積を踏まえた解決策を説明し、4章〜6章の中で、大田区で進めていたビジネスモデル面、デジタル面のイノベーションについて説明する。全6章から成るコラムは以下のタイトルで連載する。

中小製造業の経営者、中小製造業を支援する方のみならず、社会をよりよく変革したいと考えている方々にとっても、有益な事例紹介になれば幸いである。

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