2021年10月26日
本稿は2021年9月10日にDIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー Special Report [PR]に掲載された「事業変革からサステナビリティ変革へ。デジタルを活用して企業価値を高める「SX」とは何か」を転載しております。
デジタルテクノロジーを活用して、企業が生み出す社会価値・環境価値・経済価値を向上させるSX(サステナビリティトランスフォーメーション)。日立コンサルティングは、その推進支援コンサルティングを本格的に開始した。「デジタルの力」で業務変革を支援し、社会と企業のサステナビリティ変革に貢献していく。
日立コンサルティングは、日立グループが得意とするIoTやAIなどの先端デジタル技術を応用して、企業や公共団体などのDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援するコンサルティングを行っている。
そのノウハウを生かし、21年4月にサービス提供を本格化したのが「SX推進支援コンサルティング」だ。
SXについての解釈はさまざまだが、同社は、「企業の生み出す社会価値・環境価値・経済価値を、デジタルテクノロジーを駆使して向上させ、社会と企業のサステナビリティを実現すること」と定義している。
日立コンサルティング
デジタル・イノベーションコンサルティング事業部
チーフデジタルストラテジスト
兼 デジタルイノベーションコンサルティング本部
本部長
西岡千尋
「本業と社会貢献活動を切り離すのではなく、社会価値と経済価値を両立させる経営モデル、事業モデルの構想と構築を支援します。サステナブル経営では、短期的な収益ではなく、中長期的視点での『稼ぐ力』が必要です」
そう語るのは、同社の西岡千尋氏である。
日立コンサルティングでは、(1)既存事業をサステナビリティに対応した事業に変革する、(2)社会課題を解決する新規事業を創出する、という二つの方向性で企業のSXを支援している。
前者の一例として西岡氏が挙げたのが、廃棄物の再資源化など、サーキュラーエコノミー(循環型経済)に貢献する事業モデルへの変革だ。
「例えば、従来のサプライチェーンマネジメントは、原材料の調達から製造、物流に至るまで、社内における流れを最適化するためのものでした。しかし、回収や再資源化といったプロセスには社外の多くのステークホルダーが関与します。そのデータを統合し、AIやIoTなどのデジタル技術を活用しながら、データドリブンに管理することを支援します」(西岡氏)
実際に日立コンサルティングが支援した輸配送計画最適化では、トラックから排出される温室効果ガスを低減するため、AIを使って車両の数や配送ルートを最適化し、輸送トンキロを削減させた事例がある。
「この輸配送計画ではCO2排出量を8.6%削減し、コストも大幅に抑えることができました。環境価値と経済価値を同時に高め、社会と企業のサステナビリティの両立を果たせたわけです。今後は、上流の調達から下流の回収までサプライ・サーキュラーチェーン全体を最適化していきます」と西岡氏は説明する。
一方で、日立コンサルティングは製造業のDXを長年サポートしてきた実績があり、そこで培ったデータ利活用の先端技術を生かしながら、製造現場のSXも支援している。
日立コンサルティング
グローバル・ビジネスコンサルティング事業部
副事業部長
兼 産業DXコンサルティング本部 本部長
島田洋二
「当社は以前から、品質やトレーサビリティなどの『トラスト』、工場が災害等に遭ってもモノづくりを止めない『レジリエンス』で支援してきました。最近では、これに脱炭素化をはじめとする『環境』を加え、三つのテーマからSXの推進をお手伝いしています」
そう説明するのは、同社の島田洋二氏である。
製造現場が脱炭素化に取り組むには、作業でどれだけCO2が発生しているのかを計測し、どこまで減らすのかというKPIを設定する必要がある。
島田氏は、「カーボンニュートラルで、環境部門だけではなく、製造部門の意識が変わっています。排出量ゼロという定量化しやすい目標が出たことが一つの転機です。炭素排出をコストと認識したKPIを設定することで、日本企業が得意とする現場改革につながります。設備の省エネだけでなく、デジタル技術を駆使して排出量を見える化し、製造プロセス全体を脱炭素化する仕組みづくりを提案します」と語る。
このほか、再生可能エネルギー導入計画のコンサルティングなども行い、製造業のSX推進を統合的に支援している。社会インフラに強い日立グループならではのサービスだといえる。
以上は主に既存事業のSXだが、日立コンサルティングは、社会課題を解決する新規事業の創出も支援している。
日立コンサルティング
デジタル・イノベーションコンサルティング事業部
副事業部長
兼 社会イノベーションコンサルティング本部 本部長
兼 ライフイノベーションコンサルティング本部
本部長
苅山真樹
「人口減少や都市化、ニューノーマルなど、時代の変化とともに既存の社会インフラが持続困難になりつつある中、社会インフラの再構築を新規事業として企画するサービスです。ライフラインデータや先進技術を活用し、新たなビジネスモデルを構築することで、社会課題解決を事業として成立させます」と、同社の苅山真樹氏は説明する。
公共交通や水道、ヘルスケア、ラストワンマイル物流など、同社が社会課題解決のための構想策定や実現を支援する新規事業テーマは多岐に亘るが、最近では建設業などでも外部パートナーとのビジネスエコシステム形成による社会課題への取組みが広がっている。「革新的なアイデアや技術を持つスタートアップとの協創により、サステナブルな事業の発展をめざす企業や公共団体などを支援します」(苅山氏)
事業変革からサステナビリティ変革へ。日立コンサルティングのSX推進支援は、その動きを加速させそうだ。