テクノロジー&トランスフォーメーションディビジョン
ディビジョン長青山 ゆき
IT研究者が日立コンサルティングのコンサルタントになった理由
私は新卒の就活時にいくつかITベンダーを検討していましたが、社会貢献への思いに共感したことや従業員に優しい社風を感じたことから、日立製作所に入社しました。当初は研究部門に所属し、さまざまなIT技術の研究に従事しており、具体的には、情報処理技術の研究で、自然言語処理に近い分野に携わっていました。例えば、現在では検索エンジンの台頭で利用されなくなってしまいましたが、検索を高速化する手法や、日本語の文書を理解してそこから意味を取り出し、ルールに基づいて新しい文章を生成する技術の研究などを行っていました。
そこから日立コンサルティングに移ったきっかけは、日立製作所として研究開発した技術をお客さまに適切に届けるために、“コンサルティング”と“技術”を組み合わせたソリューションを提供する体制を新たに構築することになったことです。当時は日立製作所のコンサルティング部門がその役割を担っており、私は研究者として彼らと連携することになりました。そこで初めてお客さまと直接接することになったのですが、自分が先進的で良い技術だと思って取り組んでいたものであっても、果たして本当にお客さまの役に立っているのだろうかという壁に直面しました。その経験から、技術が独りよがりになっているのではないかと感じ、世の中のニーズの変化に気づいたことで、コンサルティングに挑戦することを決めました。その後、日立製作所のコンサルティング部門は独立し、今の日立コンサルティングに統合された、という経緯があります。
私自身は日立製作所時代から約20年にわたり在籍している身ですが、長年の経験を活かしながらさまざまな業務に携わってきました。これまでは主にペーパーレス関連のプロジェクトを担当してきましたが、時代の流れに応じて、現在はDX全般の支援に取り組んでいます。
これまでもやりがいのあるプロジェクトに沢山取り組んできましたが、特に金融業界のお客さまとのプロジェクトが非常に印象に残っています。
当初は、「ペーパーレスにしたい」というお客さまの明確な目標実現のためにコンサルティングをしていました。しかし、プロジェクトが進むにつれ、業務フロー自体に問題があることや、組織の機能不全といった課題が明らかになりました。そこで次のステップとして、「コーポレートDX」をテーマに掲げ、会社全体の変革に取り組むことになりました。それからも業務改善や企業全体の改革といった新たなテーマが続々と発生し、当初半年で完了する予定だったプロジェクトが、最終的には約5年続く長期的な取り組みとなったのです。
この期間中、メンバーやテーマは変わりながらも、「お客さままるごとDX」とも言える規模での取り組みが行われ、非常にやりがいを感じましたね。少し具体的にお話しすると、デジタル推進部門の新設や役割の見直しを提案しました。組織変革ということで、なかには抵抗感を抱く部署の方もいらっしゃいました。そのため丁寧に説明し、納得を得るプロセスに多くの時間を費やしたという部分はとても苦労したことを覚えています。最終的には多くの壁を乗り越え、関係者が「変わって良かった」と感じる結果を得ることができましたし、私自身も「貢献できて良かった」と心から思いました。
日立グループの信頼と技術と実績を武器に、企業のDXを実現
「お客さままるごとDX」を任せてもらえる背景には、日立グループの安心感という強みもあるのかと思いますが、それらを踏まえ、日立コンサルティングが持つ特徴についてお伝えすると、当社は数百社ある日立グループのなかでも唯一のコンサルティングファームとして存在しています。部門は大きく「インダストリートランスフォーメーション」、「社会イノベーション」、「デジタル社会基盤」、「イノベーション&ストラテジー」と4つのドメインに分かれていますが、会社全体としてお客さまに積極的にアプローチし、社会をリードすることが期待されています。
私自身が当社の特徴と聞いて真っ先に思い浮かぶことは、「人に優しい文化」が根付いているということですね。個人としてだけではなくチームとして協力し合い、価値を生み出すことが重視される企業文化があると思います。このような文化が根付く当社だからこそ、仮に未経験者であったとしてもチームとして共に成長しつつ、社会に貢献できる環境が整っているといえるのではないでしょうか。具体的な例を挙げると、プロジェクトにおいてメンバーをアサインする際、一般的な企業では「このプロジェクトに一番貢献できる人」を選ぶことが多いと思いますが、当社では「これをやりたい」という意欲をもっている人や、成長できるポテンシャルがある人を見極めてプロジェクトメンバーに選びます。お客さま、会社、チームそして本人にとっての“最適”を考え、実行していることは日立コンサルティングの特徴的であり、他のファームと比較しても、唯一無二の会社だと感じています。
その中で私がディビジョン長を務めている「テクノロジー&トランスフォーメーションディビジョン」は、産業、公共、金融といった業界を問わず横断する組織として、ソリューションやテクノロジーを提供しています。私たちのミッションは「ソリューションwithテック」、つまりテクノロジーを活用して、お客さまの経営課題や業務課題を解決することです。最近では、生成AIに関する需要が高まっており、生成AIを使って業務の変革や新しいビジネスを生み出したいという案件が増えています。その他のテクノロジーとしては、生体認証を利用した技術も挙げられますね。これらの案件では日立製作所と連携しながら進めています。すでに生体認証を用いて、ユーザーが財布やクレジットカードを使わずに手をかざすだけで決済が完了するようなシステムなども実現し、本格導入がはじまっています。
また、「テクノロジー&トランスフォーメーション」の「トランスフォーメーション」は、単に技術を提供するという意味だけではなく、お客さま自身を変革させることを目的としています。「このテクノロジーを使ってみてください」と提言するだけでなく、どう適用すれば変化が生まれるかを考え、それを実現するためにサポートします。さらに、その変革を実行する過程も一緒に進めていき、最終的にお客さまが成功するところまでを支援しています。絵を描くだけでなく、実際に実装を含めた支援を行っている点が私たちのディビジョンの特徴です。
案件の特徴、そして私たちが持つ強みとは―――
昨今のトレンドとして生成AIの活用が挙げられると思いますが、私は生成AIが得意とする領域は、大きく分けて2つあると考えています。
1つ目は「ソフトウェア分野」、特にシステムのプログラム作成に関わる領域です。例えば、モダナイゼーションと呼ばれる、古いシステムを新しいものに置き換えるプロセスにおいて、過去のプログラムを解析したり、そこから仕様書やプログラムを生成したりといった活用方法です。
2つ目は「アイディエーション」とよばれる事業企画の領域です。こちらも例を挙げるとすると、通常は数ヶ月かかるような構想やアイデア出しを、生成AIでは瞬時に提示してくれるといった活用法です。それを叩き台にして、人間が精査をしつつ知恵を加えてブラッシュアップを行っていくことになりますが、この領域への活用ニーズは昨今非常に多いと感じます。
加えて、「業務の効率化」への活用も注目される分野です。議事録作成や要約といった日常業務に生成AIを導入することで、短時間で効率的に作業を進められます。こうした技術を使いながら、業務の効率化を図る動きが活発であり、これに関連して、実際の使い方を伴走型でレクチャーするような支援の依頼も増えています。
その他にもメタバースやVRなど、さまざまな先端技術もありますが、現時点で私たちが携わっている案件としては生成AI関連の割合が多くを占めています。
技術の進化には、(1)新しい技術が登場し、(2)どう使うか模索し、(3)実用化を経て、(4)最終的には当たり前に使われるようになるという4つのフェーズがあると考えています。現在、生成AIはその3〜4つ目の段階にあるからこそ「実際に活用したい」というニーズが多いのだと思いますし、メタバースやVRはまだ初期段階にあるため案件の数としては少ないですがフェーズが進むにつれてニーズが増加するのではないかと思います。
さらに、将来的には先端技術を組み合わせて新しいビジネスを開発していく流れが進むと予測しています。私たちはこれまでも日立製作所の研究所と連携し、どのように技術を使っていくかなどについての議論を日々重ねてきましたが、このような点は日立コンサルティングだからこその強みだと感じています。将来を見越して最先端を走ること、それが社会課題の解決やお客さまへの貢献、そして私たち自身の次なる事業へと繋がることを期待しています。
日立グループとの連携という点では、私たちは日立グループ内唯一のコンサルティングファームとしてグループ内の案件にも携わっています。現在の案件割合としては日立グループ内が4割、グループ外が6割です。日立グループ内の案件においても、さまざまなグループ企業と共に連携しながら我々が先導役となり推進していくということに変わりはありません。
グループ外の案件では、日立グループや協業しているパートナー経由のご支援が多いと思います。ソリューションやサービスを提案する中でお客さまから「上流のコンサルティングや導入支援もお願いしたい」という依頼があった際に当社へ連携していただくといった具合です。逆に、私たちがコンサルティングを行う際に、日立グループの製品やソリューションをお客さまにご紹介することもあります。もちろん当社の業務はあくまでコンサルティングであり日立グループの製品やソリューションを販売・提供することが目的ではありませんので、お客さまにとっての“最適解”が日立グループにあった場合のみ、ということが大前提です。
このグループ内外の案件で多くの実績を挙げているという点は、競合との差別化ポイントのひとつとなっていることは間違いありません。先ほどお話しした生成AIの案件でいえば、「日立グループ内では生成AIを使って開発効率を30%向上させました」といった具体的な成果があることで、お客さまから「それなら頼んでみようか」と信頼を得られるのです。これは日立グループに所属していることの大きなメリットといえますし、先ほどお話ししたグループ内の案件にも取り組んでいることが活かされていると思います。また、当社の中でも生成AIを活用しており、実際に効果的かつユニークな使い方をしています。こうした取り組みをお客さまへのプレゼンでもご紹介し、使い方の提案をすることで、興味をもっていただく機会を作っています。
また案件の中には、グローバルで進められているプロジェクト等もあり、すでにグローバルに進出している国内企業がさらに海外市場に展開するための支援が主な役割となっています。現在も、多いとは言えませんが国内で培ったノウハウを北米やアジアにどう展開するかを支援しているお客さまもいます。今後も、グローバル展開をめざす企業の支援を積極的に行っていきます。
もちろんディビジョンとしてめざす姿はそれだけではありません。私たちは日立グループの仲間が沢山いるという強みを活かしつつ、日立コンサルティングとしても日立グループのビジネスに繋がるような取り組みを増やしていきたいと考えています。私たちだけが成功するのではなく、グループ全体でお客さまやその先にある社会全体に価値を提供することが重要だと思っています。日立コンサルティングで新しい取り組みを行い、その実績をもとにしながらお客さまと一緒に取り組み、“本当に役立つもの”を見極めることが大切です。それらを日立グループの各社にフィードバックしながら、それぞれが持つ商品やサービスに反映させることで、エコシステムをより強化しグループ全体がもつ“価値”を最大化していく、そういったサイクルを先導役として回していきたいと考えています。
日立コンサルティングだけでは規模が小さいかもしれませんが、私たちはその背後にある大きなリソースを活かして、総合力を強みとしてアピールし、他のファームに負けないようにしていきたいと思っています。
キーワードは裁量と自由―――
私たちのカルチャーについてもお伝えしたいと思うのですが、以前、日立コンサルティング内で従業員アンケートを実施した際、「自由」という言葉が多くの回答に挙げられました。これは、社員大多数が自由である社風を実感している証拠だと感じています。もちろん、自由とは責任を伴うものであり、それぞれがプロ意識をもち、各プロジェクトで自分の価値を発揮することが自由の本質だと思いますが、私たちのディビジョンは特に自由度が高いと感じています。一人ひとりのメンバーが自分の得意分野を活かして働いていますし、興味・関心をもって取り組めるからこそ熱意を注ぐことができ、皆が自分の強みを発揮できる環境が整っていると感じています。
加えてサポートの充実という点も当社を表す社風だと言えます。例えば、成長をサポートするために、私たちはナレッジ共有を積極的に行っています。特にテクノロジー&トランスフォーメーションディビジョンでは業界や業種を問わず、さまざまなお客さまにソリューションやサービスを提供しているため、広く情報を得るという意味でもナレッジの共有は重要です。私たちは扱っている情報を適切に切り分けながら、ドキュメント作成やナレッジの保管、検索ツールの管理にも注力し、“次”に繋げることができるようノウハウ等の共有を行っています。最近では、生成AIを活用して要約サマリーを作成し情報共有を進めるなど、ナレッジ共有に関する効率化も実現できていると感じています。一人ひとりが得た情報や経験を共有し他の案件に活かすことで、個人としても全体としても成長するための武器を整えることに、今後も力を入れていきたいです。
「自由」というキーワードが出てきましたが、働き方もそれぞれに裁量を委ねられている面が大きいと思いますね。もちろんクライアントワークなので何もかもが自由ということではありませんが、その中でも非常に裁量のある環境だと感じています。私自身、長年勤務してきましたが、常に自分のやりたいことを追求することができました。これまで、やってはいけないと言われたことはほとんどなく、むしろ自分のアイデアに対しては多くの後押しを受けながら進めてきました。
また、「タイム&ロケーションフリーワーク」を掲げ、時間や場所にとらわれない働き方が実現できるようになっていますので、それぞれが自分の方法で最大限の成果を上げることを重視した働き方ができる会社だと考えています。
多角的な成長支援を実行
もう一つのキーワードとして「サポートの充実」が挙げましたが、会社全体としてのさまざまな研修が充実しているだけでなく、私たちのディビジョンでは、定期的に勉強会を開催しており、メンバーが順番に講師となって案件紹介や新しいトレンドの共有などを行っています。しかし、“制度”というにはまだ改善の余地があると思っていますので、今後も「この会社だから成長できる環境」をめざして取り組んでいきたいと思っています。
先ほど現在のトレンドとしてお話した生成AI関連等の育成トレーニングについては、日立グループ全体で行われる研修も、日立コンサルティング独自で行われる研修も両方あり、日立グループ全体として、AI関連の人材を増やすという大方針があるため、希望者には無料でさまざまな教育プログラムを提供する仕組みが整っています。
また、日立コンサルティング内でも独自の取り組みを行っています。勉強会を開催したり、使い方を共有し合うコミュニティを作ったりと、多くの方法でスキルを磨ける環境を整えています。加えて、案件にアサインする際は、お客さまより先行して学びながら進めるといった実践的な育成方法も取り入れています。
また、研修ではありませんが、サポートという観点でお伝えするならば、メンバー同士が気軽に相談できる環境づくりには特に力を入れており、私たちの自慢の1つです。例えば、必ずサポート役のメンターが設定されており、メンバーはいつでも相談できる環境が用意されています。また、プロジェクトの枠を超えたキャリア相談も積極的に行われており、隔週での1on1を通じて、現在の課題や将来のキャリアについて一緒に考える機会を設けています。新入社員には、週1回の頻度でメンターがサポートするなど、手厚いフォローを実施しています。さらに、リモートワークが多い環境でも交流を活発にするため、ランダムにペアを組む雑談会を開催しています。この雑談会では、プライベートな話題も交えながらテーマを決めて楽しく会話をしています。その結果、年末年始にどのメンバーが何をしていたかが全員わかるほど、親密な関係が築かれています。こうした取り組みにより、メンバー同士が強く繋がり、互いを支え合う文化が醸成されています。
仕事も育児も両立させ、シニアディレクターに。
ライフステージの変化によって働き方が変わる方もいらっしゃると思いますが、日立グループの制度はこの面でも非常に充実しているといえますね。例えば育児休暇は小学校1年生まで最大3年間の育休が取得可能など珍しい制度も多いと思います。男性の育休取得率も当社では非常に高く、世の中の平均が約30%であるのに対し、当社は約60%に達しています。さらに、育休の平均取得日数は67日で、2〜3か月といった長期間の育休を取得する社員も多いことも特徴のひとつです。
私自身、子どもが2人いますが、当時から自分の働き方を自分でコントロールできる環境があったため、仕事が終わらなくても一旦保育園のお迎えに行き、その後、自宅で作業を続けるということもありました。実は、この「家で作業を続けられる」という柔軟性がミソになっていて、心のゆとりにもつながっていましたし、とても大きな助けになっていましたね。このような制度があったからこそ、私は短時間勤務を選ばずフルタイムで働き続けることができましたし、「責任感のある仕事にしっかりと携わることができている」という実感をもちながら、プライベートとも両立ができたことは、とても有難かったです。
一方で何もかも自分で調整して対応していたというわけではありません。周囲のサポートも非常に手厚く、突発的なことが起こったときや私が早めに帰宅する際には、「後は任せてください」と快くフォローしてくれる人が多く、とても恵まれた環境でした。今では子どもも成長し、今度は自分がサポートされてきた経験をもとに、必要としている方への恩返しをしていきたいと考えています。
テクノロジーに興味があればどなたでも。「人に優しい日立」が求める人物像
現在、私たちはテクノロジーを活用したソリューションを強化しており、その分野に興味をお持ちの方には経験者・未経験者問わず、ぜひ仲間に加わっていただきたいです。その背景として、一緒に新しいことに挑戦したい、お客さまの役に立ちたいと考えてくださる方であれば、どなたでも活躍できる可能性があると考えているからです。
当社でご活躍いただいている方は、経験の有無や社歴、年齢等は問わず、プロ意識があって自分で決めたことに責任をもちながら、与えられた裁量を存分に活かして取り組める方が多いと感じます。そのため、約束したことをどう実現するかを主体的に考え、行動できる方であれば、きっと当社で大きなやりがいを感じられるのではないでしょうか。受け身ではなく、自ら主体的に動きたいというマインドがある方にとっては、非常に魅力的な職場だと自負していますので、そういった方々とぜひ一緒に切磋琢磨していきたいと考えています。
私は最終面接官として対応させていただくこともあるのですが、面接では「一緒に働きたいと思える方かどうか」という点を重要視しています。だからこそ、「コンサルタントになりたい」「この会社で働きたい」「こういうことに挑戦したい」といった意欲や熱意を面接でも、ぜひ臆することなく伝えてほしいと思っています。加えて、人柄も大事です。当社は人に優しい職場環境を大切にしているため、周囲のサポートを受けるだけでなく、周りの役に立ちたいという気持ちをもっている方だと嬉しいです。そういった意欲や人柄を総合的に見て、「この方と働きたい」と思える方を新しい仲間としてお迎えしたいですね。
繰り返しになってしまいますが、私たち日立コンサルティングは非常に自由で働きやすく、かつ刺激的で楽しい職場です。テクノロジーを活用しながらお客さまの課題を改革したいと考えている方は、ぜひ積極的にご応募いただければ嬉しく思います!