カスタマートランスフォーメーションディビジョン ディビジョン長
グローバルビジネス推進室(GBO) 室長
高橋 秀徳
「日系企業を再び強くすること」が組織目標
私は新卒で日立製作所に入社し、コンサルティング部門に配属されました。その後、日立グループ内で唯一コンサルティングを専門とする子会社が作られ、株式会社日立コンサルティングとなった2006年から当社に所属しています。以降、製造業を中心にDXやBPRの構想策定・事業企画、日立グループ全体の構造改革推進等、幅広い支援に携わりました。そしてASEANでのコンサルティング事業の立ち上げのため、約4年のタイ駐在を経て、カスタマートランスフォーメーションディビジョンのディビジョン長、そしてディビジョン内に属する『グローバルビジネス推進室』の室長を兼任しています。
まず『グローバルビジネス推進室』がどういった「組織」「チーム」かにフォーカスを当ててお話したいと思います。
『グローバルビジネス推進室』のミッションは「強い日系企業の復活」です。
特徴は、ただ単に日系企業のグローバルプロジェクトを成功させることだけがゴールではない、という点です。グローバルプロジェクトを通じ、日系企業のグローバル競争力の強化にいかに繋げることができるか。こういった高い視座を持ち、私たちはプロジェクトを推進しています。そして、日系企業の飛躍、ひいては日本経済の発展へつなげていくことが最終的な目標です。少し大げさに聞こえるかもしれませんが、グローバル展開に課題を抱えている企業は本当に多くおられます。だからこそ彼らの力になることは、大げさではなく日本経済の発展に直結すると信じています。
この目標を達成するために私たちが担う役割は、企業がグローバルな舞台で力を発揮するための課題解決支援やビジネス推進です。日系企業の「日本→海外」に向かう「ロールアウト」の支援を行い、日系企業が海外でも戦えるよう事業を共にデザインの上、グローバル経営の強化をサポートします。
そしてこれらの、従来から提供している「日本→海外」の支援に加え、近年力を入れているのが、これまでとは逆のベクトルである「ロールイン」の支援です。これは、日立グループに加わったグローバル企業のケイパビリティをフルに活用して日系企業の競争力を高めるべく支援を行うものです。日立グループは、多くのグローバル企業との連携を進めてきました。彼らはこれまで日立グループに無かった多くのケイパビリティを持っています。その力を最大限活用しながら、共に日系企業を強くすること。これが、今までには無かったもう一つの支援の柱です。これは、日立グループだからこそ提供できる価値であり、日立コンサルティングでなければ実行できない独自性を発揮できる領域でもあることから、クライアントからも高い評価を得ています。
また、社内の組織としての位置づけも特徴的な点があります。それは、組織の中で「横串的に」支える存在であること。現在、『グローバルビジネス推進室』には約30名のメンバーが所属しており、少人数のチーム編成で各々の担当プロジェクトにあたっています。日立コンサルティングには複数のディビジョンがあり、異なる領域でクライアントと向き合っていますが、それぞれのプロジェクトを推進する中で、グローバル事業における課題が浮き彫りになることがあります。そういった際に、私たちがプロジェクトに加わり、グローバルな課題解決の支援をするケースが多くあります。「グローバル」をキーワードに、社内の多様なチームと連携し、さまざまな業界やコンサルサービスメニューを横断して活躍することが、私たちに求められている社内的な役割です。
失敗を恐れず挑戦できる、攻めの部門
社内でも特殊な意義を持つこの部門をリードするにあたり、私が注意していることがあります。それは「やりたいことがあれば、失敗を恐れずやってみる」という「攻めの姿勢」をメンバー一人ひとりが持ち続けられるように支援することです。私たちコンサルタントは、クライアントからの期待を超える価値を出さなければいけません。そのために精一杯、真摯に取り組むことは大前提です。その上で自分自身が「やりたい」「やるべき」と思ったことは、失敗を恐れずやってみる、そして失敗したとしても、失敗からしか学べないことをしっかり学ぶ、というサイクルが重要だと思っています。精一杯チャレンジした結果失敗したとしても、私をはじめ部門全体でフォローすれば良いだけのことです。
このような「攻めの姿勢」を打ち出しているのは、グローバルな舞台へ挑んでいく部門の性質にも依る所が大きいかもしれません。個人的な所感ですが、このような気質は他部門とも少し違ったものがある気がしています。攻めなければグローバルな舞台では戦えないという『グローバルビジネス推進室』の独自の色ですね。
そして、攻めの部門である『グローバルビジネス推進室』を引っ張る中核は、現在30代前半の若い世代です。若い世代が臆することなく、自由に発言できる雰囲気作りには私自身、注力しているところですし、実際に自由な空気感が『グローバルビジネス推進室』にはあると思います。
さまざまな壁を乗り越え、クライアントの価値を高める
ここで、『グローバルビジネス推進室』の特徴的なプロジェクトを一つ紹介します。日立製作所が買収した米国のデジタルエンジニアリング企業であるGlobalLogicのサービスを日本国内に展開するプロジェクトです。同社は独自のサービス・技術・方法論等を武器に、グローバル市場で企業のデジタルトランスフォーメーションを成功に導いてきました。グローバルでは多くの実績がある一方、日本市場はこれから、という位置づけでした。そこで、日本市場へのサービス展開を最終的なゴールに見据え、まずは日立製作所と共にグループ内のトライアルサービスのローンチをめざすプロジェクトが開始されました。日立グループの中でも初めての取り組み=「攻め」のプロジェクトです。
海外法人の現地スタッフとも連携を取りながら、日本市場向けにサービスをローカライズさせるべく、さまざまな取り組みを行いました。「言葉の壁」、「コミュニケーションの壁」、「仕事の進め方の壁」「仕事に対するマインドの壁」等、沢山の障壁がありましたが、それらを一つずつ取り除き、サービスのローンチをめざしています。
その過程で、成功事例はもちろん、失敗事例や、その解決方法等、トライアルプロジェクトだからこその貴重なノウハウを蓄積することができました。このノウハウを武器に、日立グループ外のクライアントへサービスを展開していくことが目標です。日立グループ自体の競争力や価値を高めるだけでなく、多くのクライアントに貢献することができる。『日立コンサルティングのグローバルビジネス推進室』の特徴的なプロジェクトと言えるでしょう。
総じて『グローバルビジネス推進室』はまだまだ発展途上で成長の余地があります。今後も数多くのプロジェクトに参画する中で成功体験を積み重ね、より良い組織の形を模索していきたいと考えています。日立グループのグローバルリソースを上手に使う仕組みづくりも課題と捉えていますし、部門を率いる立場として、メンバーにさまざまな経験を積んでもらうことで、個人としても、部門全体としても、視野を広げていきたいと考えています。
求められるのはスキルだけではなく、取り組む姿勢と座標軸
続いて『グローバルビジネス推進室』に属する「個人」に焦点を当てお話したいと思います。
よく『グローバルビジネス推進室』で働くために求められることは何か、という質問をいただくことがありますが、その答えは決して一つではないと思っています。
まず求められることは、クライアントの課題を洗い出し、解決へと導くための基本的なコンサルティングスキルです。そしてタイムリーに海外の方々とも事業推進ができるコミュニケーションスキルが必要となってきます。しかしこの二つのスキルだけを備えていれば良いというわけではなく、他にも多くのことが求められます。日本と海外の「文化の違い」「マインドセットの違い」「仕事の進め方の違い」等を理解・尊重しつつ、コミュニケーションギャップを埋める力も、その一つと言えますね。
他にもマインド面で言えば、多くのことに興味を持ち挑戦する意欲、幅広い業務に進んで取り組む柔軟な姿勢等が求められます。自分一人の成功ありきではなく、クライアントの成功、ひいては部門全体の成功にフォーカスする高い視座を持つことも必要です。
沢山のことを述べてしまいましたが、これら全てを最初から備えている人はそうはいません。もっと言うと、チームメンバー全員が全て持っていてほしい、ということでは決してありません。重要なことは、自分にしかない強みを発揮すること、働くうえで自分なりの座標軸をしっかり持っていることだと思います。
また、先に示したコンサルティングスキルや語学スキルの習得にはある程度時間が必要ですが、マインド面は今すぐにでも変えられる部分だと考えています。自責思考を持ち、ブレずに、真摯に業務に臨むことができれば、おのずと結果はついてきます。そして、周囲もフォローの手を差し伸べてくれるでしょう。できるところからやってみる、という姿勢で勤務を重ねる中で、時間を要するコンサルティングスキルや語学スキルもある程度身についていくはずです。
求められていることは簡単ではないですが、日立コンサルティング全体として、長期就業を前提として一人ひとりの成長に寄り添う風土があるため、焦ることなく取り組む姿勢を持ち続けていただきたいですね。
最後までやり遂げることで、クライアントの力になる
『グローバルビジネス推進室』で働く魅力はまず、グローバルな舞台で活躍をめざせる点にあります。世界のさまざまな企業やビジネスに触れることで、グローバルな視点で日本経済・日系企業・自分たちの置かれている状況等を見直す機会にもなり、発見も多いでしょう。
また、チーム単体で動くことよりも「部門横断的なプロジェクト」の性質が色濃いため、多くの組織や人のやり方を学ぶことができます。同じ課題へのアプローチでも、携わる国、組織、人によって、やり方はいくらでもあるからです。考えや立ち位置が違う人との仕事は刺激が多く、自分を見つめ直すという面からも良い機会になると思います。さまざまなプロジェクトに参画する中で、知識や技術の引き出しが増え、コンサルタントとして得難いスキルを身につけることもできるはずです。
そして、強い日系企業、強い日本経済の復活を掲げる中、一つでも多くの事業成功につなげられれば、社会に及ぼす影響力も小さくありません。プロジェクトを通じて得られる達成感は非常に大きいと思います。
とはいえ、簡単ではない部分ももちろんあります。そもそも参画するプロジェクトの難易度は高く、簡単な課題解決ではありません。また、クライアントからの日立コンサルティングへの期待値も高く、日立の看板を背負っている以上、途中で投げ出すことはできません。粘り強く最後までやり抜く姿勢は必須です。更に、さまざまな文化を持つ海外の方々とのやり取りは一筋縄ではいかないため、こちらが要望した通りの返答が貰えることは稀です。ここでも粘り強さと工夫が必要となってきます。
ですが、これらの難易度が高い課題への対応は、日立コンサルティングとして、多様な研修・教育制度で一人ひとりの成長を多方面から後押しします。また、部門にジョインしたメンバーには、折を見て「日立グループ内の重要なプロジェクト」にも参画してもらうことがあります。必ずしもグローバル案件とは限らないですが、敢えて取り組んでいただき、プロジェクトを通じて「日立の文化」にも触れてもらいます。そうすることで、日立コンサルティングが持つ特徴や強みが可視化され、クライアントに対して何が提案できるかも見えてくるからです。日立コンサルティングのコンサルタントとして従事する以上、必ずプラスに働くことですし、メンバーにはこの体験を財産に変えてほしいと思っています。
伸びしろ十分な組織で、全ての経験を糧にする
日系企業のグローバル経営力強化(ロールアウト)の側面でも、日立グループが持つグローバルケイパビリティの活用支援(ロールイン)の側面でも、『グローバルビジネス推進室』という部門には、まだまだ伸びしろがあると捉えています。
そして部門を大きくするには、メンバーのスキル向上やバイタリティが不可欠です。今いるメンバーはもちろん、新しい力にも期待を寄せています。手前みそになってしまいますが、多くのチャンスがあり、貴重な経験を重ねる機会が豊富です。更に、同じ志を持つ仲間がいて、さまざまな教育やキャリア面でのバックアップもあるわけですから、「成長できる環境」「思う存分活躍できる環境」が整えられていると自負しています。だからこそ、受け身になるのではなく自発的にチャレンジする姿勢を持ってほしいと思っています。私がかつて所属したASEAN向けのコンサル部隊であるタイの拠点もありますし、世界へ打って出るチャンスは広がっています。即戦力を必要としているタイ拠点で働くには、経験やスキルが必要になるので、誰もがすぐに海外拠点で働けるというわけではありませんが、数多くある経験を積める場所の一つが、グローバル拠点であるという事実はぜひご紹介しておきたいですね。
私が日立コンサルティングに入社してから20年あまり。ずっと会社の発展を見続けてきました。グローバル案件に限らず各業界のトップ企業や官公庁、自治体など影響力の大きいさまざまなクライアントと共に課題解決・社会貢献に挑めるプロジェクトが沢山あることもそうですし、タイでの事業立ち上げの経験も然りですが、日立コンサルティングだからこそできる「唯一無二」と言えるチャレンジが沢山出来る、という実感があります。
多彩な経験を積めることは言うまでもありません。きっと全ての経験を成長につなげられます。伸びしろ十分な組織で、自分自身の限界を突破してみせる――。そんな気概を持った仲間を増やすことができた時、『グローバルビジネス推進室』にも新しい景色が広がるのではないかと感じています。