ホワイトペーパーこれからのサービスデザインの在り方
〜サービスとシステムの同時デザイン〜

はじめに

私たちを取り巻く環境は劇的に変化しています。クラウドの登場により、企業は自前の設備を持たなくとも安価に大量のデータを保存・処理できるようになりました。また、膨大なデータを高速に伝送できる5Gや、高度な判断を可能にするAIといった技術の急速な発展により、距離の制約を受けることなく円滑に共同作業を行ったり、熟練者のスキルを容易に活用したりできるようになりました。

加えて近年目につくのは、既存業態で培われていたサービスプロセスを分割し、一部の要素を切り出して提供したり、業態の枠を超えて、データや手続きをひとまとまりにして、新しい商品・サービスとして提供したりする事例です。例えば、金融業界では、顧客とのインターフェース機能を独立させた代理店サービス、または健診情報など、これまではヘルスケア業界のデータと捉えられていた情報を活用し、保険商品の開発や販売に役立てています。このように業務・業種・業界の垣根を越えてビジネスを推進することで、従来とは異なるプレーヤーとの競争が必要になります。新たなテクノロジーを起点に、既存のビジネスモデルは大きな変革を求められているのです。

さらに昨今の新型コロナウイルス感染症の出現は、人々のマインドに大きな変化をもたらしました。感染防止への取り組みによって、顕在化した地理的な制約を取り除こうとする努力の結果、ネットワークを通じてさまざまなサービスが利用できるようになり、在宅勤務も広がりを見せました。人々の環境適応への感度を高め、変化に対する許容度を押し下げたと言えるでしょう。

本書では、デジタルテクノロジーを活用した新規事業・サービスの創出、既存事業の見直しを迫られている皆さまに向けて、これまで当社が培ってきたノウハウを交えながら、プロジェクトを成功に導くためのポイントを中心に紹介していきます。