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第2回 生成AIがもたらす働き方の未来 3

2023年10月27日

生成AIは「人間の拡張」の先駆け

ユースケースの中で生成AIは優秀な社員の田中さん、佐藤さんとともに登場しました。これは生成AIが人間と協働することを前提にした技術だと考えているからです。
生成AIはあくまで自然言語処理を機能とし、予測型や識別型のAIと違って新しい示唆や判断の手がかりをもたらすわけではありません。筋の通ったテキストは生成できますが、情報そのものの意味を理解しているわけでもありません。
膨大な量の非定型情報を処理したり、大量のコンテンツを瞬時に作ったりすることができると同時に、その価値や妥当性を評価しビジネス成果につなげる「使いこなす人間」を必要とする技術だと考えます。
逆に使いこなす人間さえいれば、その知恵を何倍もの範囲に適用したり、ごく短い時間で成果につなげたりすることができます。

私たちはこのような、デジタルとの結合によって既存のサービスやプロダクト、人間の価値や適用範囲が飛躍的に広がる可能性のことを、デジタルによる拡張(Digital-Augmented)と呼んでいます。

“Digital-Augmented”な働き手の出現を受けて、特にこれまで労働集約型だったナレッジワークの領域は、デジタル資本集約型への変化が進むと考えます。つまり、自社がアクセスできるテクノロジーとデータ、そして働き手によるデジタルの使いこなしが組織全体の成果最大化に直結するようになるのです。企業はこのような未来に備え、業務やサービス、組織の在り方を変革していく必要があります。

生成AIがエマテクの時代を呼び込む

生成AI活用の拡大を受けて、その他のエマージングテクノロジーにも研究・推進が加速している領域があります。
例えば電力の分野では、AIの大きな電力需要によりクリーンなエネルギーを供給すべく、メガベンチャーが核融合発電の研究に注目しています。
生成AIの学習データや用途の透明性の向上に向けては、ブロックチェーン技術を活用したコンテンツ来歴管理が検討されています。
メタバースやデジタルツインの領域では生成AIを活用し空間をより自由に操作できるようになる可能性があり、イニシアチブが立ち上げられました。
以上のことは、エマージングテクノロジーがそれぞれの適用分野でビジネスやサービスを変えるだけでなく、相互作用によって導入を加速し、新しい社会基盤となっていく可能性を示唆すると考えます。単一のテクノロジーだけではなく、新しい「時代」としてこれらを捉え、引き続きその可能性を検討していきます。

[参考文献]

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