2023年4月27日
2023年現在、ここまで語ってきた「デジタル時代」はどのような形になってきているのでしょうか。われわれは「大きく進展してきているものの、あいろに陥っている」というのが実情と捉えています。あいろに陥った要因の1つとして、デジタル化/DXが「効率化の手段」にわい小化されてしまったことがあります。2010年代後半から、大手企業だけでなく、中堅・中小企業にデジタル化/DXが広まるにつれて、多くの企業がデジタルテクノロジーを「効率化の手段」と見るようになってきました。Operational Excellence7に強みがある日本企業では、現場ドリブンでの変革が求められることも多いため、ある意味で仕方がない面もあります。しかし、RPAなどの手作業の自動化まで“DX”と呼ぶような現状では、デジタルテクノロジーが持つ本来のケイパビリティーを十分に活用できていないとも言えるでしょう。
では、市場の先を見ている、投資家などは現在の状況をどのように捉えているのでしょうか。彼らはデジタル時代ではなくその次、“Beyond Digital”を模索し始めています。つまりデジタルテクノロジーによる事業や業務変革の先にある、破壊的な変化をもたらす「エマージングテクノロジー」の探索と、それらを用いたイノベーションに関心が移っているのです。
一部の例にはなりますが、2020年前後で、エマージングテクノロジーは各種イベント、レポートなどで取り上げられるようになってきました。
これらの動向は、デジタル時代のやり方が単に終えんしつつあるというよりも、デジタル時代に分かってきたことである「一歩先を見据えて、イノベーティブな技術革新の予兆をあらかじめ捉えておき、次のイノベーションに向けた準備やエコシステム構築を進める」という姿勢をエマージングテクノロジーに適用していると言った方が正しいと考えています。